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2013年05月31日

海外生活のススメ(147)   確かさのない社会(2)

 では、確かさが少ないことは、そんなに良くないことか。確かに、中国人は今後のことは分からないと考えるので、目先の利益を優先させ、良いものをじっくり育てようとしない。例えば、技術を磨くのも中途半端だし、賭け事や投資好きも短期で稼げるからだ。農業も同じで、育てるのに時間が掛かるからと、牛は飼育しようとしない。

しかし、悪くないところもある。確かなものは少ないと思っているので、転身したり次の行動を起こすのが速い。例えば、ビジネスは、まず始めてから修正して行くやり方で、スピードが速い。サラリーマンは、勤務条件が今より良いか、そこでの学びが終了したと思えば、簡単に転職する。また、海外で働くことや海外投資も、抵抗がない。

 それに比べ、日本人は確かなものがあると考えるので、日本にいて、じっくりと良いものを生み出そうとする。そして、確かなものは長く続くと考えるので、奉仕的な精神も強く、集団的な結束力も生まれる。だが反面、何でも長く続いて行くと思いがちで、状況の変化に対応できず、また決断が遅くなって、時機を逸することが多い。

 以上のように、日本人から見れば、中国人の行動は一見不可解だが、確かさがない社会にいるのでほとんど止むを得ず、また一部学ぶべきところがある。一方、日本人は、何かを長く続けることは上手いが、変化に応じて機敏に動くとか、思い切って舵を切り直すのは不得手である。ともあれ、大事なのはそうした違いではなく、周りの社会状況に行動が合っているかだろう。


写真)  香積寺(杭州)


2013年05月21日

海外生活のススメ(146)   確かさのない社会

 今は、政治、経済状況だけでなく社会的、文化的にも先が見えない時代になっている。政治システム、経済原理、科学技術や思想など、ほぼあらゆるものが不確かなものと感じられるようになっており、それだけに何か確かなものを求める動きが強まっているように見える。日本の右傾化も、そうした流れであると思う。

 だが、そうした傾向をほとんど感じなさせないのが中国である。それは、中国の政治システムが、自由主義国家と違っていることもあるだろうが、別の次元でも中国は他の国と違っているように感じる。そもそも中国には、確かなものなどほとんどなく、人々もそういうものは得られないことを知っているように思う。

 例えば、中国は住宅価格が異常に高く、ほとんどの住宅が30年しか持たない安っぽい建築なのに、人々は争って買い、長期ローンを組んで給料の30~50%を返済に充てている。なぜ、このように割に合わないことをするかというと、社会保障が整っておらず、住宅が唯一、財産的な確かさを与えてくれるからである。

 中国人が移民しようとするのも、国がいつまでも安定しているとは考えないからで、仕事に熱心でないのも、いつまでも雇用されるとは思っていないからである。家族の結束が強いのも、他人があまり信用できないためである。このように、確かさが少ない中国社会と、日本みたいに確かさを求め得る社会では、人の考えが違って来るのは当たり前である。


写真)  ハノイ(ベトナム)