« 2013年01月 | メイン | 2013年03月 »

2013年02月19日

海外生活のススメ(140)  精神的な満足

中国重慶市のテレビ局などが同市内で「あなたに足りないものは?」と質問する街頭インタビューを行っており、同市の人々の間でこのテーマが大きな話題になっているという。インタビューの結果は、「カネが足りない」と答えた人が多く、また、「睡眠が足りない」とか、「精神面で満たされていない」との回答も多かったようだ。

自分の周りの中国人も、いつも金儲けのことを考えたり、やたらモノを買ったりして、物質的な満足を求めている人が多く、精神的な満足を大事にしているようなことは、彼らからほとんど聞いたことがない。精神面で満たされていないのは、よく考えて生きていないということであり、生活が味気ない、喜びがないと感じても仕方あるまい。

こうした現象は、中国が人口の多さや学歴社会で競争が激しく、また中国人が自ら認めるように、経済発展を機に物質欲や拝金主義が強まって、みながみな豪邸と高級車などを持つことにしか幸せの形を見つけられなくなっているからだろう。経済的なことや目に見えるものにしか価値を置かなければ、精神性が疎かになり、結果、幸福感が弱まるのは当たり前である。

 日本もかつて、バブル時代には消費社会と呼ばれ、人々は物質に幸せを求めた。しかし、その後景気が低迷し消費ムードが弱まったが、替わりに精神的な満足を重視するようになったかというと、そうでもない。ひと頃より家族を思う傾向はあるが、個々人が人としての自分の生き方を考え、自分を取り戻すところまでは行ってない。そう考えると、中国はまだ消費文明の真っ只中であり、人々が精神的に満足するのは程遠い気がする。


写真)  呉山天風(2)

2013年02月11日

海外生活のススメ(139)  アジア移住

ネットのニュースによると、日本人のアジア移住が少しずつ増えているそうだ。以前は北米移住を希望する人が多かったようだが、最近はアジアを選択する人が増えているという。東日本大震災を契機に海外移住の意欲が高まったそうで、また、これまでの移住は富裕層が中心であったが、現在は各層から集まっているようだ。

移住の目的はいろいろのようで、安く生活ができるとか、日本の介護費用が高すぎるので海外に安い介護を求めてというコスト面の理由だけでなく、子どもの教育のためとか、楽しく暮らすためという人もいるようだ。韓国では、15年前から移住ブームだそうだが、日本もいよいよ移住ブームが訪れるのかも知れない。

韓国は、8割を超える大学進学率、非正規雇用率が50%程度、大卒は2つの外国語マスターが当たり前という社会であり、もっとエリートを目指したいという人や競争が嫌で逃げ出す人が多く、そのため海外移住者が多い。このことをどう捉えるかだが、韓国より外国が良いという人が多い訳だから、韓国にとっては喜べないはずだ。

ただ、そうは言っても、個人的にはいろんな事情がある訳だし、海外移住することが悪いとは言えない。また、若いうちに海外生活をして、違う世界を見て置くというのは、ひとつの選択だろう。国とかに捕らわれないで生きるというのも、何だか格好いい。結局、海外移住は個人の自由であり、国だけが関心を持つべきことだが、日本政府は海外移住が増えていることをどう思ってるだろうか。


写真) 中国の正月

2013年02月01日

海外生活のススメ(138)  違和感(2)

もうひとつ、日本にいる知人から最近よく聞くのが、「中国の経済は、もう駄目だってねえ」という言葉である。芸人と区別の付かないテレビうけする中国評論家がそんなことを言ってるのだろうが、いくら中国のことを悪く言えばうけるとしても、すぐ隣国で事実に反することが広まっているのはなんとも情けない。

確かに、中国の経済成長率は2011年の9.8%から7.8%と下がり、かつてほどの急成長は望めなくなっている。また、三農問題、教育・衛生など社会事業の遅れ、エネルギー効率の悪さ、環境汚染、産業構造の問題、所得格差、汚職体質など数多くの問題を抱えており、持続的な発展ができるかどうか危うい情況なのも間違いない。

ただ、目下、中国の経済状況は、鉄鋼、セメント、板ガラス、多結晶シリコンなどの過剰生産設備を抱えている産業が不調であるが、他はおおむね好調か何とか黒字であって、全体としては回復基調となっている。特に、固定資産投資が増え、小売売上高も予想以上の伸びを見せ安定して来ており、これを受け株式市場も賑わっている。

もっとも、今後、世界の経済情勢は全く安心できないし、中国も先のいろんな問題を解決するには、制度面の改革と知識ストックが欠かせず、たいへんな困難に直面するだろう。しかし、中国は目下、金融面も財政面も政策運営の自由度は大きいので、少なくともまだしばらくは発展できる。したがって、中国はもう駄目なのではなく、これから正念場を迎えるというのが正しい。


写真) 呉山天風