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2012年10月22日

海外生活のススメ(128)  消費の不振

 中国の経済成長が鈍化している理由は、ひとつは欧米等の不況による外需の不振だが、それよりも影響が大きいのは中国国内の消費需要の落ち込みであろう。内需が振るわないのは、もちろん国内の消費者物価の上昇が関係しているだろうが、何と言っても一番の要因は、住宅価格が高過ぎることにあると思われる。

 住宅を早期に購入した人たちは、まだ価格が安かったし、好景気で賃金の上昇が起こったからローン負担が軽い。しかし、最近住宅を購入した人たちは、購入価格が高くて銀行からの借入も多く、消費に回せるカネがない。今後、経済成長が緩やかになれば賃金の上昇も見込めず、ローン負担が重くのしかかることになる。

 将来、住宅を購入しようとする人たちは、3~40年分の給料を全部つぎ込まなければならない価格なので、今せっせと節約して資金を貯めている。こうした状況では、消費が伸びる訳がない。現在、数字的には消費額が伸びているが、実態は政府による消費が牽引していると言われている。街角の賑わいがよくニュースになるが、実際にはそれほどでもない。

 現在、中国政府は住宅価格が上昇しないようにコントロールをしていると言うが、本当は価格が緩やかに下がるように誘導している。そして、今後、一方で物価を抑制しながら、所得分配の改革、低所得者への減税などにより購買力を高めようとするだろう。それ以外に、消費を伸ばす良い方法は見当たらず、よってこの二つの政策がブレることはないと思われる。


写真)  上海中心街(3)

2012年10月14日

海外生活のススメ(127)  気遣い

今回の日中間の問題(尖閣問題)では、日本のメディアは、中国の政府や国民がいかに酷いことをしているか、日本政府側がいかに正義しく対処しているかを報道している。ニュースだから、特別な出来事を話題にするのは当り前だろうが、そのように一面的な報道をすれば、どうしても国民のナショナリズム・反中感情を煽ることになる。

個人的なことだが、私は今回の騒ぎの中で、中国人からいろんな気遣いをしてもらった。中国で暴動を起こしている人達は、どんな人で、本当の理由はこうで、だから多くの中国人は彼らと違うと告げたり、食事を誘われたので出掛ると、親戚が日本へ留学したり旅行したりしていることを話し、自分が日本と近い存在で反日的な気持ちがないことを伝える人もいた。

また、外出するときは誰か一緒に付いて来るから連絡して欲しいと、身の安全を心配してくれる人もいた。彼らは、私が危険な状況にないと思いながらも、万一のことを案じてくれた。この手の話はメディアには関心がないが、多くの日本人がこんな経験をしたはずであり、ほとんどの中国人が過激だと日本国民に思わせるのは余りに悍ましかろう。

そもそも、今回の揉め事は何のためなのか。政治家は選挙、官僚は省益と保身だけを考え、マスコミは一般ウケすることを狙い、国民は彼らに踊らされるだけである。中国と事を構えることは、日本経済にとって大きな痛手となるのは明らかであり、遅からず日本側が折れることになるだろう。何と馬鹿馬鹿しい政治ショウであろうか。


写真)  上海中心街 (2)


2012年10月04日

海外生活のススメ(126)  中国の情報

先ごろ、中国株や海外起業について、長いことコラムを書かれて来た邱永漢さんが亡くなられ、また邱さんのところで、中国事情や中国でのビジネスノウハウを詳しく紹介されて来た柳田洋さんがしばらく休まれるということで、中国のことについてとても詳しいお二人方による新規の情報が見れなくなってしまった。

お二人の情報は、中国に住む者にとってもたいへん参考になったが、中国に進出したい企業や中国株を買いたい人、中国一般に関心を持つ人にとっても、非常に残念なことだと思われる。中国に関する体験紀等は多いけれど、長く中国社会を自分の目できちんと見つめ、対応の方法を掴んだ人の読み物は少ない。

日本のマスコミの書くものは、中国のことを悪く書くとウケルものだから、事実が歪曲されており、参考にならない。まして政治家の言うことは、国内問題でも市民感覚からズレているが、海外のことはぶっ飛んでいる。実際、中国社会に足を踏み入れ、いろんな体験をした人でないと、分かることはさほど多くない。

日本には、情報を集め、自分の持つ知識や経験則でそれらしく纏めるのが上手い知識人がいるが、省エネで成果を求めるタイプで、現場のことをよく知っている訳ではない。マスコミは、現場には行っても、ウケルことを大袈裟に取り上げるだけで、自分の肌で感じて何かを捉えようとはしていない。中国の情報は、少なく分からないことが多い。


写真) 上海中心街