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2012年08月25日

海外生活のススメ(122)  中国進出を考えている中小企業へ

中国進出を考えていると言う声をよく聞くし、そういう企業から時々相談を受ける。私に頼るぐらいだから、さほど大きくない企業である。大手は、社員を派遣して調査するので、我々を頼ることはない。ただ、その費用は馬鹿にならず、安い給料の社員を一人1年派遣するだけでも、最低1000万円は掛かる。

 中国に1年いても、生活や言葉に慣れるのに精一杯で、仕事ができる状況ではないだろう。だから、企業が進出を検討するだけでも、多くの時間と費用が必要になる。無論、一方で商社や調査機関、関連会社を使って時間を節約するだろうが、それなりの経費を掛けて、データや情報を集め、結論を出すことになる。

 しかし、私に尋ねて来る企業は、軽い気持ちで進出を考えているところが多い。海外進出には技術力や資本力が必要だが、しかしこちらからすれば確認したいのは本気度である。なぜなら、いろいろ尋ねた末、最後は音信不通になる場合が多いからだ。それで、本気度を確かめるために、「分からないことは調査するので費用が掛かりますよ」と言うと、大抵この時点で関係が終わる。

 つまり、情報はただと思って、ものは試しで訊いているだけで、これは日本人の悪いところである。少し考えれば、情報には時間、労力、費用が掛かかると分かるはずであろうが、、、。それはともかくとして、真に中国進出を考えている中小企業に勧めたいのは、中国に長くいるところは皆ある程度ネットワークを持っているので、5、6箇所ぐらいに少し費用を払ってでも情報を集めることである。そうすれば、低コストで大体の事業イメージが浮かび、もし浮かばないならそのビジネスは可能性が低いと考えてよいと思う。 


写真) 西渓湿地


2012年08月19日

海外生活のススメ(121)  景気回復の手段

中国の景気は、まだパッとしない。少し回復して来ているとは聞くが、建築関係者の話なので住宅を買う人が増えているということだろう。中国のこれまでの経済発展は、輸出と国内の不動産投資によるものであった。だが、海外の不景気から輸出の伸びが鈍化し、不動産投資も政府の規制が続き取引量が以前よりかなり少ない。

 景気を牽引した二つのエンジンの動きが鈍っているからその影響は大きく、今のところ回復の道筋が見えない。住宅がまた売れ出したと言っても、たぶん一時的なものであって、価格が上がれば新たな規制が入る。だから、住宅投資による景気回復はありえず、また海外も景気回復は難しく、輸出が大きく伸びることはない。

 中国政府はお決まりの公共投資を増やしているが、公共事業が景気対策としてどこまで有効かは日本の例を見て分かるようにかなり疑わしい。そこで、事業対象を特定化したり環境保護対策に資金援助するなど、景気を刺激するとともに改革のメカニズムを埋め込んで構造調整を進めている。また、新三板制度を導入して先進技術を研究・開発する企業の資金調達を容易にするなど、多方面に渡り仕掛けを施している。

 しかし、その景気対策の程度は、思い切りアクセルを踏んでいる訳ではない。それは、財政支出などによってインフレが起こるのを恐れているからである。中国は目覚しい経済発展を遂げても、一方でまだ貧しい人がたくさんいるし、高齢化していることも考えなければならないので、物価への配慮を優先しているのである。日本は、消費税増税の後、いよいよインフレターゲット導入となるのだろうが、どこに視点を置くかで政策が違ってくると感じざるを得ない。


写真)  古い茶館(紹興)


2012年08月04日

海外生活のススメ(120)  食の安全 (その2)

今、中国人は日々の食生活について大きな不安を抱えている。そこら中に危ない食品が溢れているからだ。また、屋台のものは非衛生的とか、ここら一帯の小店は質が悪すぎるとか、有名チェーン店でもこれは食べない方がいいとか、店に関する噂もたくさんある。しかも一方で、これだったら安全という食品や店がほとんどない。

庶民にとって一番重要なものは健康つまり食の安全であるが、このことで頼りになるものは今のところ中国にはない。行政の管理体制にも問題あるだろうが、呆れてしまうのは食品業者の倫理観のマヒぶりである。国民の不安はいかばかりかと思うのだが、高い外国製品を買うか自分で作るかしかなく、できることには限界がある。だから、不安があっても妥協して、手近で比較的安全なものを選んで食べている。

日本もかつて食に対する信頼が揺らいだ時期があったが、現在は食の安全に対する消費者の意識が高くなって、問題を起こせばどんな企業でも致命的になる。結局、日本は国民とうるさいマスコミが食の問題を解決したわけで、中国も国民自身やマスコミが悪質業者に対して厳しい態度をとることでしか変わり得ないだろう。

しかし、そうだとしても、今の状況を早急かつ少しでも良くすることが求められる。現在、中国には日本から醤油、マヨネーズなどの食品業者は進出しているが、加工業者はまだ少ない。中国人の口に合うものを造るのは難しいかも知れないが、安全性をアピールすれば食べてみようとして、すぐに慣れてくれるだろう。食の安全の問題は、日本の食品加工業者にとってチャンスかも知れない。


写真) シェムリアップの孤児院で(カンボジア)