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2012年07月24日

海外生活のススメ(119)  消費税

現在、消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が国会で審議中である。政府は消費税の増税が財政再建には不可欠だと説明しているが、税率を10%にした場合の税収増は年13兆5千億円と見込まれるものの、反面、消費が大きく落ち込んでその他の税収が激減し、1997年の消費税引き上げ時と同じように全体の税収が減る恐れも指摘されている。

 仮にそこまで減らなかったとしても、影響は避けられないだろうから、消費税増税後、税収が大きく伸びることは考えられず、財政再建に繋がるとは考え難い。では、何のために消費税増税をやるのかというと、結局、財政再建をするのに何ら良い手立てがない状況であること、もしかしたら財政破綻を少し先に延ばせるかも知れないということでしかないようだ。

 そんなあやふやな理由で、所得格差の拡大に繋がることをやろうというのだから、金持ちを優遇する政策と批判があるのも当然である。消費税増税によって確実なことは、所得格差が拡大されることだけだからである。また、セットである社会保障改革の内容も小手先のものでパッとしないし、結局、年金の未納率が増えているから消費税で賄うということに過ぎない。

 ちなみに中国の消費税はどうかというと、5%~17%とモノによって税率が異なっており、企業は経費控除のために税金を納めるが、個人はそういうメリットがないので、その分安くさせて売り手に脱税を求める場合が多い。また、老後の対策については、中国政府は、昔は「年金があるから大丈夫」と言っていたが、今は「自分で何とかしろ」と言っている。だから、中国人は早くから自分で老後の対策を講じ、国の政策を当てにしていない。


写真)  紹興

2012年07月15日

海外生活のススメ(118)  環境保護意識

中国人は環境保護意識が極めて低く、大半の人が道路や空き地に平気でごみを捨てており、偏見かもしれないが、彼らの顔を見るとどうしても自分勝手でやさしくない人に見える。川は悪臭がするので、さすがにごみを捨てる人はあまり多くないが、すでに限度を越えた汚さであっても、放置されているところがある。

 しかし、日本もかつて中国ほど酷くはなかったが、結構ゴミを平気で捨てていた。それが変わったのは、四大公害訴訟やオイルショックからで、それから次第に企業や個人も環境を大切にしようとするようになった。そして、省エネ、排出物削減、リサイクルと環境保護の概念が拡がり、やがて産業化され、その分野の先進技術を生んで行った。

 今、中国では、深刻な公害、環境破壊、ゴミ問題が起こっているのだが、人々の問題意識はさほど高くない。成金は傍若無人であり、子供は一人っ子で甘やかされたり勉強漬けで躾がなっていなく、経済発展から取り残された人たちも環境保護を期待できない感じで、どこからも環境に対する意識が変わりそうにない。

 ただ、中国政府はようやく省エネ・環境保護に力を入れ始めていており、環境への意識変革は日本でもパラダイムシフトが起こったように、中国でも可能性があり得るだろう。他方、中国は経済構造改革という重要課題を抱えており、これを推進するには国民、特に役所、政府系企業の意識改革が必要であるが、環境問題に関して社会や人々がどのように変わるかは、経済構造改革に大きな影響を及ぼすと思われる。


写真)  ホワイトサンド2(ベトナム)


2012年07月02日

海外生活のススメ(117)  省エネ・環境保護

最近、経済ニュースで最も目にする言葉は、「省エネ・環境保護」である。こうした言葉の出所は、中国の場合、普通、産業界ではなく政府である。基幹産業や新興産業など重要な分野は、すべて政府によりコントロールされているからだ。因みに、ここ2年ほどの盛んに目にした単語を順に羅列すると、「不動産」→「物価」→「金融緩和、経済減速」→「財政政策、省エネ・環境保護」となる。

 これらは、その時々の中国の経済政策のキーワードである。つまり、①不動産が高騰したので購入制限が始まり、②その後、2010年後半から物価が上昇し始め、物価抑制が最大の課題となり、③2011年末から物価は落ち着いて来たが、経済が減速し始めて金融緩和が関心を集め、④今は、財政政策の必要性が叫ばれ、中でも省エネ・環境保護に対する政策が中心となっている。

 なぜ、省エネ・環境保護が財政政策の中心かは、ひとつには中国の省エネ・環境保護の問題が非常に深刻だからである。中国の省エネ対策はかなり遅れており、特に酷いのは住宅で、最新の住宅でさえ鉄骨、レンガ、セメントだけで出来ているので、部屋の中と外の温度がほとんど変わらない。環境は、空気、水、土地とあらゆるものが汚染されており、身体への影響が出始めている。

 もうひとつは、中国は持続的な経済成長のために新しい産業を育てていく必要があり、省エネ・環境、新素材、新エネルギー、バイオ産業、電気自動車、次世代情報通信、ハイエンド設備製造の七分野の産業を後押しするとしている。しかし、どの分野も技術的に先進国のレベルより劣るし、ただ省エネ・環境産業はハイエンドでなくても成り立ち得るし、かつ問題状況も差し迫っているから、この分野への取り組みを強化している。


写真) 丹東も高層建築が建ち始めている。