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2012年06月21日

海外生活のススメ(116)   貿易均衡化

中国は、輸入を拡大することで貿易バランスを図ろうとしており、今後、生活用品の輸入関税を引き下げ、加えて消費の拡大を図るために減税するとしている。これは、貿易黒字により外貨を溜め込めば、元高になって輸入品価格が安くなるので物価がその分下がるのだが、輸出産業は痛手を被りやがて不況の原因になるからだ。

 しかし、これはただひとつの理由に過ぎない。貿易黒字で外貨を稼いだといっても、そのほとんどがドルであり、本家本元がドル紙幣を印刷しまくっているので、ドルや米国債を貯めても将来大損するのは見えているから、どうしたら良いかを考えているのである。その対策のひとつのが、輸入拡大の政策となっている。

 将来のドル安対策はそれだけではない。溜め込んだドルを使って、海外の鉱山や農地、企業を、顰蹙買うぐらい買い漁っている。また、発展途上国への資金援助も盛んである。これは、元高対策でもあるのだが、一方的援助ではなく、その見返りを要求することが多い。しかも、資源を有する途上国の政府や企業に対する援助が多い。

 こうした対策は、たぶん日本が参考になっている。ただし、反面教師としての参考である。今後も中国は、物価に注意しながら元高を防ぎ、米国債の保有を減らし、ドルの有効的な活用を考え、互恵原則により途上国への影響を強めていくであろう。だが、その中で最も興味深いのは、やはりアメリカと直接関わる米国債の扱いである。


写真) 杭州市


2012年06月13日

海外生活のススメ(115)  ゼロサムゲーム

中国では、不動産市場に続いて高級品市場でもバブルがはじけ始めているようで、不動産と共に投機対象となっていた高級ワイン、高級茶、美術品などが、軒並み暴落し出しているそうだ。しかし一方で、一部の投資家は新たな対象物へ目を向け始めており、特に翡翠は過去10年間で約10倍の高騰を遂げているので、今後も上昇が期待されるという。

 中国人は、そもそも数年掛かりというような長期的な投資を好まない。とにかく時間が掛かるのは嫌いなようで、たぶんこれは国民性であろう。手っ取り早く儲けられるもので、方法が簡単で分かり易く、皆がやっていることを自分もやろうとするところに特徴がある。効果の早さを求めないのは、たぶん子供の教育への投資だけだ。

そうなると、投資は当然、ゼロサムゲームやそれに近いものに向かうことになる。ゼロサムゲームは、誰かが儲けたら、その分誰かが損していることが感覚的に分かるので、ゲームであるとことを忘れることはないが、それに近いものはゲーム性があることを忘れがちで、中国ではいろんな投機活動も立派なビジネスと思われている。

有名大手企業ですら、本業はそっちのけで、不動産投資をしたり高利貸しの資金主になったりしているのを見ると、ゲーム化した社会になっていることがよく分かる。投資は、個人も国や企業も同じで、その健全さが試されるものだろう。中国政府は、最近、民間資本が都市インフラの整備、エネルギー、医療等の分野へ参入することを奨励しているが、果たしてそうした本来の投資活動が盛んになるか、やや疑問である。


写真) 西湖にある国営のホテル。利用者しか入れない。(杭州)

2012年06月05日

海外生活のススメ(114)  経済発展

中国の発展ぶりを見ていると、発展途上国が経済発展するのは、そんなに難しくないんだと思えてくる。別に中国の悪口を言うつもりはなくて、ただ日本が敗戦後に高度経済成長して、周りからすごい国だと思われ、自分たちもそう思って来たのだが、今は「案外、大したことじゃなかったのかなあ」と思ってしまう。

 労働賃金が安いこととある程度の技術獲得があれば、経済発展は可能なのだろう。ただ、日本が優れていたのは、あるところまでは海外の製品の真似をしたが、あるところからは独自に工夫・開発したことだろう。中国は、WTO加盟による海外企業の進出やソフトウェアの発達により、いとも簡単に技術移転が進んだ。

 ただ、日本もそうだったが、中国もある程度経済成長して、さらにその後も発展できるかというと、そんなに簡単ではなかろう。労働賃金の安い国はたくさんあるし、技術は簡単に買える時代なので、第二、第三の中国が現れ、競争力が落ちるのは見えている。だから、労働賃金が上昇し、技術が陳腐化しても、別の競争力を創出できるかによる。

 それには、新しい文化を創造する力が必要だろうが、残念ながら日本も中国もそれが乏しい。アメリカは自分勝手で好きになれない国だが、新しい文化を創造する背景があることは認めざるを得ない。日本にはそうした文化的土壌がないので、個々人が日々の生活の中で小さな変化を起こすこと、それを評価することから始めるしかない。


写真) 抗美援朝記念館(丹東)