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2011年12月21日

海外生活のススメ(93)  景気判断

中国の物価上昇はこのところ収束気味だが、政府のインフレ抑制策が効を奏したというよりも、不況になったからというのが正しいように思える。12月のPMI速報値は50を割ったままだし、その内訳を見ても新規受注の指数が依然低調であり、景気が低迷していることを表している。なぜ、ここまで景気が悪化するのを放置したか。

物価だけに目が行ったというより、景気判断を誤ったと言うのが正しいように思える。多くの金融機関も景気判断を誤り、金利が更に引き上げられると予測していた。庶民の景気に対する感覚と実際の経済状況は違うとも言われるが、経済数値が出るのが遅れるのは当たり前で、数値に頼った政策はどうしても後手になる。

株価の動きも政策の状況とかなり乖離したものとなっており連日下落が止まず、依然景気の動向に問題ないとする政府のスタンスに対し懸念が強いことを表している。株価の動きが経済の動きに先行するとしても、ここまで景気の悪化を予想した動きになっているのは、そうした政府の景気に対する認識への不安のようにも見える。

つまり、投資家が見ているのは政府の発表した政策内容ではなく、政策を打ち出す前提となる為政者の現状への認識を見ているのであろう。いずれの判断が正しいかは、時間が過ぎないと分からないが、株価の動きが現実に近い感じがする。ともあれ、昨今の状況からして年末、年始にかけ何らかの動きがあることが予想され、結果が興味深い。


写真) ホワイトサンド(ベトナム)

2011年12月06日

海外生活のススメ(92)  試練

今、中国の景気見通しについては、見解が分かれている。ひとつは、GDPは少し下がるが、ソフトランディングするというものであり、この考えが主流である。もうひとつは、景気は、ハードランディングはしないにしても、かなり冷え込むのではないかという予測である。こちらは、今のところ少数派である。

 多数派は、不況になれば金融を緩和して、積極的な財政政策を実施すればよく、中国政府はそれが可能な体力&状況にあり、コントロールは比較的容易だと見ている。それに対し少数派は、高金利、高賃金、高原材料によるコスト高と欧米の消費低迷、元高により収益が落ち込み、コントロールは容易でないと見る。

 少数派はまた、不動産不況の影響が富裕層に及び、深刻な事態になることを危惧している。これに対し、多数派はそこまで徹底した不動産価格の抑制はしないで、すぐにも規制を緩めるはずだと見ている。だが、この点については少数派の意見が正しい。今、不動産価格を元に戻したら、この国はバブル崩壊を避けられない。

今までは、景気とインフレのどちらを優先させるかの選択だったが、これからは不況とインフレが同時に起こるのでどうするかの問題になって来る。後者の方が問題が難しく、解決にはイノベーションが欠かせない。ハードランディングするかどうか分からないが、中国が大きな試練を迎えることは確かだと思われる。


写真)  メコン川 (ベトナム)


2011年12月01日

海外生活のススメ(91)  インタビュー(1-5)

(浪速産業株式会社の中国事業部主席代表の難波秀基さんにインタビューしました。)

五、今後のことについて、どのようにお考えですか? (つづき)

これからの時代、ますます単体で何かをするのは難しくなるため、会社同士が協力すること(合作)がますます重要になってくると思います。例えば自社の強みが「開発」「製造力」にあるのなら、「販売力」のある会社と付き合っていくという風にです。自社の「強み」「弱み」を冷静に見極めた上で、他社との合作を主導的・計画的に行いながら、且つ自社の進むべき方向性を決定していくことが必要だと思います。

私の事業理念について言わせてもらうと、まず基礎のある事業、安定した事業を確実に立ち上げていきたいです。「基盤がしっかりしたコア部分を基礎として、付加価値を確実に作り上げる」。これは私が事業をやる上での基本方針です。不安定な世界であるからこそ、少々のことでは動揺しない基礎を築いていくことが必要だと思います。目の前の状況の変化に翻弄されないような、5歩先、6歩先を見越して、チェスや将棋のように先手をとって対策を練り、常に明確な方向性、計画性を持つ状態の会社、そんな余裕のある会社を作りたいと思っております。
そして、「会社売上規模を大きくする」ことを目指すよりも「付加価値の高い製品・サービスを少人数のチームで創出する」会社を理想としたいです。それは「ただの理想だ」と思われるかもしれませんが、確かに心から目指したい事業の姿であり、これが健全な事業だと信じております。

現在、浪速産業社内の大部分は私より年上であり先輩にあたる人が多いため、その人たちとうまくやっていくことがポイントだと思っております。現経営陣、社員に対して、「私の考えをみんなに伝える」、逆に「社内における各社員の難所をとらえる」などして、信頼関係を前提にしたコミュニケーションが必要だと思っております。
最終的に各社員が自分のポジションでそれぞれ確信を持った務めをして、お互いに信頼をもって協力し合い、会社全体として堅実な組織を作るのが望みです。
「今やっていること」を標準として自己満足に浸るのではなく、絶えず古い自分の殻から抜け出し、本当の世界を模索していくことが、大切なことだと思っております。


六.最後に一言

前にも述べましたが、中国に来てからある期間の間、私は日本の標準を絶対と考え、中国人を一方的に裁いていましたが、それは間違っていると分かりました。そして次第に、背景や環境が根本的に違っていることに注目していけば、「考え方」「行動パターン」がなぜ日本人と全く違うのかが少しずつ理解できるようになりました。
以前、日本人から「中国人に騙された」という話を聞きましたが、実際は、それは彼らと深く付き合わず、一方的に日本人の立場で物事を見ていたからであり、日本人側にも相応の責任があるケースが多いと思います。
中国人と日本人は多くの点で異なりますが、お互い学ぶところはあると思います。
中国での生活、中国人との現実的な深い交わりを通して、これら二国の異なる点が次々と発見させられましたが、そのことは私が「国(習慣、文化)を超越した、一人間として本当に大切なこととは何なのか」について、より深く考えさせられる貴重な機会となりました。


写真)  難波秀基さん