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2011年11月19日

海外生活のススメ(90)  インタビュー(1-4)

(浪速産業株式会社の中国事業部主席代表の難波秀基さんにインタビューしました。)

五、今後のことについて、どのようにお考えですか?

 
私は、入社してから大部分は本社から離れた中国で過ごし、中国協力工場との合作を通して「工場生産(委託製造、輸入販売)」に従事してきたのですが、そこで個人としても仕事としても、これまで日本では出来なかったものをたくさん体験しました。これらの新しく得たものを基に、次の展開につなげられればと思っております。

例えば弊社の仕事は、元来、メーカーの下請け、そのまた下請けのようなまわり回ったものが多く、「短納期」「多品種」「少量」「リピート性(安定性)がない」「先の生産計画が不明」の仕事が多かったのですが、中国事業を通じて、「大量生産」「リピート性」「安定性」「計画性」を持った顧客、仕事と出会うことができました。これは高い生産能力(生産設備の多様・豊富性、加工スピードなど大量生産性、低コスト)を持った協力工場があったからこそできたことです。これにより、会社がこれまで求めてもなかなか得られなかった「安定した主要事業軸を構築し育てていく」成長ビジョンを、真剣に考えていくスタートとなりました。

また、メーカーと直接仕事のやりとりをすることによって、これまで下請け業者では見えなかった世界の動向や方向性も生々しく感じ取ることができましたし、「生産・品質管理」面での能力がこれまで以上に問われることになり、会社がステップアップする機会を得ることができました。

そして、何よりも大きいのは会社全体の「社員の意識」や「モチベーションのアップ」、それによる「新しい事業展開」だと思います。これまでの日本の仕事では、会社全体のチームプレーもさほど要求されず、皆が自分のやり方とペースで与えられた仕事だけをやればよかったので、他の社員の仕事に関心を持つ必要もなく、社員間の相乗効果が要求されるような仕事はあまりありませんでした。しかし今回、社内のプロジェクト化によりチームワークが問われ、「計画性のある仕事」、「社員が共通した目標をもって行うチームプレー」、「各社員の役割(責任)の明確化」、「チーム内での報告・連絡・相談のやりとり」、「目標を皆で達成する充実感」など、これまでとは明らかに違う風が吹くことを期待しております。

中小企業にありがちですが、限られた時間の中でひとりが何から何まで(顧客新規開拓、顧客のニーズを伺う、提案、設計、新商品開発、見積り、販売、製図、製造指示、デリバリー、クレーム処理、研究開発)すると、力は分散して薄れてしまい、結果的に仕事が中途半端になり、事業は実りにくいです。これからの時代、チームプレーは欠かせません。特に、浪速産業の社員の皆には「与えられた自分の仕事をただ受動的に真面目にこなす」という考えから脱却して、「一つの目標を設定して、その目標を達成するための手段を自主的、積極的に追求し、モチベーションを持って、他の仲間と手を組んで主動的に働く」の重要性を認識して欲しいと願っております。そこには今までになかった「仲間と同じ目標を達成する喜び・味わい」があると思います。


私が現在考えていることは「中国委託生産を通して、事業の利益を出していく」という短期的な目的よりも、むしろ「中国事業を通じて得ることのできるあらゆる財産を基にして、日本の浪速産業本社を励まし、全体的レベルを高めていき、会社全体を成長させていく」ことが重要であると思っております。
具体的な事業計画について言うと、これまで手がけ育ててきた各事業活動(「自転車ラック(自転車置き場)」、「物流パレット(ガラス,タイヤ,家電積載)」、「ロールフォーミング製品(住宅外断熱材金具)」、「自動車製造ライン内設備」、「仮設機材」、他加工製品)を基にして、より深く掘り下げ、広く新しく展開していくような働きを考えております。

弊社本社工場は従来、高速道路関係の仕事(遮音パネル、遮音パネル支柱、補強柱)を多く加工してきましたが、高速道路関係の仕事は浮き沈みが激しく安定性がないし、高速道路関係以外の仕事についてはお客さんのその場限り(リピート性のない)のオーダーメイドの加工が多いので、会社全体としては安定した仕事が不足しております。よって今後、弊社が目指していくべき方向は「安定した主要事業を確立」し、「各事業を成長・成熟させていく」ことだと思っております。そのためには、社内のポテンシャル(潜在能力) ・クオリティー(質)を向上させていくことが必須です。

現在は、お客様の商品開発の手伝いと製造販売をメインとしておりますが、いつかは自社製品(サービス)を社会へ販売していけたらと思っております。自社の製品がそのままお客さん(ユーザー)の手へ販売される。これは、OEMとは違い、達成感が大きいと思います。
製品の内容についても高付加価値の製品を目指していきたいです。自社が社会の中で何を提供しているかをよく知っていること、「弊社は○○で勝負しております」と自信を持って言える会社を目指したいです。


写真)  難波秀基さん


2011年11月07日

海外生活のススメ(89)  インタビュー(1-3)

(浪速産業株式会社の中国事業部主席代表の難波秀基さんにインタビューしました。)

四、中国人についてどう思いますか? (つづき)

<言葉に責任がない>
発する言葉に責任感ありません。
多くの場合、十分に検討した上での発言ではなく、その場をしのぐための気軽な発言が多いです。今日言ったことも、明日になると平気で変わるし、でたらめなことを言うことも多いです。言ったことが昨日と違うことを自分も意識しておらず、「昨日と話が違う」と言っても「いや、こうなんだ」と昨日の話がまるでなかったかのように返してきます。言葉に重みがないため、言葉での約束は約束になり得ません。


<心はオープン>
どちらかといえば中国人の心のほうが、日本人よりもオープンだと思います。
日本人は一般的に思っていることを外に出さないで、内に溜めていることが多いため、ストレスがたまり易いですが、中国人は日ごろから、思っていることを外に発散しているので、ストレスもあまり溜まりません。そういう意味では、日本人の方が忍耐強いですが、いつか爆発してしまう危険性があります。


<虚栄心・見栄張り>
20歳代の金持ちの家庭に生まれた子、30歳代で短期間で大金持ちになった「爆发富」やそれらの親からは、特に優越心を感じます。
また他に、虚栄心で身を固めて生きているような人に出会うこともあります。「実」でなく「虚」の世界で自分を騙して生きていると思います。ビジネスでも初めにデカイ話をすることが多いので、どれほど実体があるのか追及することが必要です。


<人情深い>
多くの中国人は人情深いです。
ある時、私は雨の日に車を運転していて、別の車と衝突事故を起こしてしまいました。警察が来るまで、中国人と事故について口喧嘩になりましたが、相手が雨傘を出して、「とりあえず君も入りなさい」と言ったので、自分が少し恥ずかしい気持ちになりました。私は、その喧嘩中、相手を全面的に敵と見ていたのですが、中国人は喧嘩している最中でも人情(優しさ)を持っていました。道理は道理、情は情とちゃんと分けているのです。
また、中国人は喧嘩した後でも、根に持つというのをあまり感じません。日本人は「自分の標準」を強く持っており、それに従う人には優しいですが、それに従わない人に対しては、「裁きを下す」という内なる非道さを持っていることがあります。しかし中国人にはそれを感じません。


<少々のことでは驚かない>
中国は国土が広く、さまざまな人種がいますので、多少変わった人がいても驚きません。
例えば、街の中を後ろ向きで歩いている人がいたとします。日本ならば、「前向きに歩くのが普通」という「常識の標準」があり、それを基準にして「何なの、あれ」と指して話題にします。しかし中国では初め見るには見ますが、「何か理由があるのだろう」と、それ以上は関心を示しません。この世界は、どんなことも、どんな人もあり得ることを心得ているかのようです。 
これは、大陸と島国の違いなのでしょうか。中国人に「小日本」言われるとき不愉快な気持ちになりますが、日本人のそういう「小さい」ところは、確かに中国人に見られていると思います。


<自信過剰で、「自分の知らない世界がある」と考えない>
すぐに、全てを知った気になり、自分に知らない世界があると考えません。
ある工場で、製品製作前に関係者を集め製作注意点を30分かけてしゃべっていると、「もう分かったから、早く終わらないかなあ」と退屈な表情でいました。こちらは、ミスが起こり易い点を述べていたのに、結果は案の定で心配していた問題が発生してしまいました。
「自分は知っている」という傲慢さがあるため、他人の意見や話が耳に入らないのです。
多くの場合、中国人は、口で言っても効果はなく、自分で失敗してもらわないと分からないと思います。だからビジネスの上では、前もってペナルティーをかけておくしかないです。
日本人の場合はたとえ自信があっても「ちなみにこれは私の考えですけど。。。」と自分の考えが間違っている可能性があることも想定して、絶対的な言い方はしません。この謙虚さはすばらしいと思います。


<「理論」ばかりが先走って「実際」がついて行かない>
この現象は、今の若者(20歳代)によく見られます。
例えば沖縄というと、私の接した多くの中国人の友達は、海の美しさ、沖縄の料理、沖縄の生活などをいくつも挙げて、まるで自分が体験したかのように語るのですが、「沖縄に行ったのか」と聞くと「ネットのブログ紹介で読んだから沖縄を知っている」と言うのです。これは「沖縄について読んだ」であり、「沖縄を知っている」ではありません。読めば既に知った気になるのです。
中国人の「知識の多さ」、「カテゴリー(話題)の広さ」、「系統化」には、毎回感心させられます。
しかし、ネットが発達し情報が飛び交う中で、「理論」が「実際」にすり替わる現象は、非常に危険だと思います。「既に知った気になっている」のが何より怖いと思います。中国だけでなく、現代社会全体の問題かもしれませんが。
中国は急速に発展し、外国から新しいものが入ってきたため、成長期の日本みたいに試行錯誤(trial and error)の過程を経ておらず、情報を十分に消化しきれないでいることが背景にあると思います。


<臨機応変、適応能力がある>
中国人は臨機応変で適応性があります。
日本人は規則どおりに動くことが得意ですが、いったん環境が変化すると、すぐに対応することができません。中国は変化が激しく不安定であり、常に臨機応変に対応することが求められます。変化する環境の中で、臨機応変に適応する能力は高いと思います。
車の運転を見ても分かるように、日本では自分の車線を守って走りますが、中国では車線変更が当たり前です。
また中国人はいかに「合理的に」、「ラクに」を考えています。
日本人は「ただ真面目にやることを美徳とする思想」が残っているようですが、「モノを造れば売れる社会」から「ニーズに対応するグローバル社会」に転換したら、その思想は不利だと思います。
一般に中国企業は商品開発力が弱いと言われていますが、当社の技術者がどうしてもできなかった商品を、一中国人スタッフが開発したことがあります。中国人の考えには柔軟さがあります。もちろん完全にオリジナル開発ではありませんが、臨機応変に組み合わせて商品を開発する点においては、中国人は日本人よりも優れているのではないかと思います。


写真) 難波秀基さん



2011年11月01日

海外生活のススメ(88)  インタビュー(1-2)

(浪速産業株式会社の中国事業部主席代表の難波秀基さんにインタビューしました。)

四、中国人について、どう思いますか?

中国人といっても、香港、台湾、中国大陸ではそれぞれ性格が違っており、また文化大革命前と今とでも違うのではないかと思いますが、ここでは「中国大陸の現代人」について意見を述べます。
中国人については、非常に多くの思いがあり、表し切れないほどです。ある本に、中国について「又古老而又年轻的国家(古い歴史をもちながら、尚且つ、年が若い国)」という表現がありますが、中国大陸の人からも同じように「奥深く、でも幼稚な人間」という印象を受けます。
一方、長年中国で生活し中国人と身近に接してきて、彼らとの間で幾度も衝突や挫折があり、そのことを通して、日本人と中国人の違いや「国を越えた人間」について考えさせられました。


<自分の「目的」がはっきりしている>
中国人は何を行うにも、自分の目的がはっきりしています。「自分はこうしたいんだ」「これが欲しいんだ」ということが自分の中ではっきりしているため、その目標を達成すべくありとあらゆる手段を模索し、人とできる限り交渉・相談します。ただ、日本人から見ると控えめさがなく、少し強引で厚かましい印象を受ける時があります。
一方、日本人に対して時々感じることですが、「思っていることをしゃべらないで流れに任せており、いったい何をしたいのだろう」という印象を受けることがあります。何か物事が発生したら口を開くのだけれども、基本は受動的で「自分のしたいことを相手が分かるのを待っている」という印象を受けます。しかし、主動的に動かないと、自分の本当にしたいことが分からず、それができなくなる可能性もあります。中国は日本のように「相手に分かってもらう」文化ではなく、「自分の考えを分からせる」文化なので、彼らは声が大きく、「私の考えを聞きなさい」という風に積極的です。
中国人の目を見ても「目的がはっきりしている」のを感じます。目的の正当性はさておき、「目的が自分の中ではっきりした上での主動的な手段の実行性」は少なくとも学ぶものがあると思います。


<戦略的である>
孫子兵法(戦略・戦術が書かれた兵法書)を読んだのですが、その中に書かれている戦略・戦術、たとえば「勝ち目のない戦は初めからするな」などの戦略・戦術が、ビジネスなどの競争社会の中で生活していない一般人たちも、はじめから身についていると思います。日本人は「ついかっとなって勝ち目のない戦さに手を出す」ことがあると思います。
中国人は「自分が何をGETして行くか」「そのためにどんな手順を踏んで行くべきか」、また「損得勘定」を自分の中でかなり冷静に考えているのではないかと思います。


<本筋・系統・要点をうまく捉える>
中国人は本筋、要点を捉え、カテゴリー分け(系統化)をするのが非常に得意だと思います。例えば、ある話題を出すと、その話題がどのカテゴリー(系統)に属しているか?ルーツ(根源)はどこにあるのか?をすぐ見分けられる人が多いです。
また、相手の「要点を瞬時に掴み」、自分の「要点を端的に述べる」のが得意であり、これは中国文化の特徴だと思います。「根→幹→枝→葉」の筋整理が上手く、これは「中国人の目的がはっきりしていること」とも深い関係があると思います。
「日本人には目的がない」ということではありませんが、とりあえず当てもない世間話をしながら、その中で自然発生的に生まれる情の通じ合いを大切にする傾向があり、方向性は確かに不明確になりがちなのではないかと思います。
中国の国家主席が今後の5、10年の計画を国民代表に話しているのを目にしますが、ある意味、これはとても大切なことだと思います。
中国人との交わりを通して、「目的」「実質」「要点」など、「思考の仕方」を学びました。


<協調性はなく個人主義>
日本人は協調性があり、常に「自分は組織の一部に過ぎない」という意識を持って行動していますが、中国人は基本、自分中心で行動します。中国人は海の砂のようだと言われており、「人は多いが、団結しようとしても、砂のようにバラバラに散らばってしまう」という感じです。
組織で何かを達成しようとする日本人に対して、中国人は「自分の身は自分で守っていかなければならない」という意識が根本にあり、基本的に個人プレーです。そういう意識が身についており(そうならざるを得なかった歴史があって)、手段も個人的です。中国人が言う「朋友(友達)、朋友(友達)」も、自分の身を守り、自分の目的を達成するための一つの手段であり、お互いに利用し合って共に目的を達成する関係(two win、合作)だと思います。
また、日本では社員皆で会社を支える意識が強いですが、中国ではあくまで個人主義で自分が客や生産手段を握れば、独立して起業するケースも少なくありません。これは収入の差も原因としてあると思いますが。
社会でも基本的にお互いを信用せず(“亲戚(親戚)”は除く)、皆が自己中で順番や秩序を守らない人が多く、元々お人好しな人も自分を守る姿勢になっています。


<間違いを素直に認めない>
先ほど、「中国人は自分の身を守る」ということを述べましたが、それから派生することとして「間違いを素直に認めない」というのがあります。間違いを素直に認めた上で「ごめんなさい」と謝る人に、あまり出会ったことがありません。
業務の中である問題を発見したとき、中国人は間違いがどこにあったのかを追及せずに、発生した経緯・理由を長々と述べるのですが、真相に辿り着くのにとても時間がかかることがあります。こちらが、真相究明しようとすると、まず自分の誤りを隠した上で理由を述べ、自分の正当性を主張します。初めのミスを隠すために、次の嘘をつく。しかし辻褄が合わないので、そのことを追求すると、また新たな嘘をつくというように「嘘」の上に「嘘」を重ねていくので、なかなか真相に辿り着けないのです。
工場の中で、品質クレームの追求をする際、多くの場合は現場担当者レベルだけが真相を知っていて、現場リーダー(管理者)にも隠していることが多いです。事務所の課長、経理、老板は、問題が発生していることすらほとんど知りません。
「自分の正当性を守る」ために、嘘をつく。しかも嘘をついている本人は「嘘をついている認識」がなく「そうしないといけない」と思っているらしいです。聞いた話によると、歴史的な背景があって、間違いを認めると全責任を取らされるので、それを恐れているらしいです。
実際、間違いをその場で素直に認めることが、自分の将来的な向上に繋がると思うのですが、これらの事件に出会うと、いつも非常に残念な気持ちになります。


写真) 難波秀基さん