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2011年10月18日

海外生活のススメ(87)   景気判断

中国政府は、現在、海外の状況や国内のインフレや景気の動向を見定めようとしているように見える。ここ1ヶ月ぐらい、政府の経済政策に大きな動きがないからだ。また、1ヶ月ちょっと前までは、大手の金融機関が金利の引き上げは間違いないと騒いでいたが、それもなくなった。むしろ、金融を緩和する話が囁かれ始めている。

そもそも中国は、インフレといっても住宅と農産物が異常な値上がりし原材料がやや高かったが、それ例外はさほどでもなかった。なのに、金利や預金準備率の引き上げを何度も行った。景気が過熱しているというのであればこうした措置は分かるが、物価の安定のためになぜ金融の引き締めが必要だったかよく分からない。

確かに昨年後半は、景気過熱が心配される状況だった。しかし、金融引き締めを始めたことで、すぐに景気の過熱感は去った感じであった。物価上昇による庶民の暮らしぶりの変化を見れば分かることだった。なのに、景気低迷という言葉はどこにも見られず、日本の金融機関のレポートも好景気が続くと判断していた。

今、中小企業の倒産状況を見れば、景気が低迷していることは明らかである。物価だけが注目されて来たが、元々住宅や農産物の高騰は個別の対応で済んだし、原材料の高騰は為替政策で調整すべきだったろう。輸出競争力を心配したのだろうが、民間金利の高騰を招き、上場企業が高利貸業に走って、貸金焦げ付きによる業績悪化が心配されている。


写真)  キリング・フィールド プノンペン (カンボジア)



2011年10月08日

海外生活のススメ(86)  インタビュー(1-1)

(浪速産業株式会社の中国事業部主席代表の難波秀基さんにインタビューしました。)

一.中国でどんな仕事をなさっていますか?

中国で製造する事業の監督、鉄鋼を主材料とした加工製品の生産・販売をしています。中国で製造している主な製品は、自転車ラック(自転車置き場)、物流パレット(ガラス,タイヤ,家電積載)、ロールフォーミング製品(住宅外断熱材金具)、自動車製造ライン内設備、仮設機材、他加工製品で、鉄鋼関係の製品は何でも挑戦しています。

父が経営している加工工場(浪速産業 本社)が大阪府堺市にあって、メインは中国の加工工場に生産委託した製品を本社を通じ日本の顧客に納品しています。弊社の中国での製造協力工場は全部で7~8社ほどあり、現在は4~5社で同時生産している状態です。

具体業務は、日本の顧客(メーカーが主)との製品打合せ、製造工場の検討(新工場の開拓)、製造工場との打合せ(客先見積)、生産管理(納期管理)、品質管理(技術指導員は日本から派遣)、輸出手配などに及びます。その他、委託生産だけではなく、顧客向けへ新商品開発なども行っており、今は生産現場の管理よりも本社工場がこれまで経験していなかった新製品・新加工製品の開拓の方に注力しております。


二.仕事の状況はどうですか?

中国事業を本格的に始めて6年ほどになりますが、事業内容、量ともに事業拡大しています。たとえば、加工内容でいうと、本社工場では、鋼材加工(切板,曲げ,孔明け,プレス)、溶接、塗装、メッキを中心に、加工完成度が中程度の製品を中心に製造して来ましたが、中国事業では、これまで自社で調達していなかった部品(樹脂製品、ゴム製品、バネ製品など)も中国で自社調達し、最終組立まで行い、完成度の高い製品を日本のお客様に納品できるに至りました。製品内容では、仮設機材から始めましたが、現在は、先ほど述べたような様々な製品へと拡大しております。

これらの製品を中国の委託生産工場で製造するにおいては、本社(日本側)の技術指導の効果もあり、製造工場の技術レベルも全体的にUPして来ました。会社の売上高も中国での生産比率が増えており、中国ならではの難点にぶつかりながらも、事業拡大、技術向上に向けて挑戦を続けております。


三.中国での仕事は、どんなことがたいへんですか?

製造業の基本要素と言われる「品質」「納期」「価格」すべての管理において、難しいと感じました。

1)「品質」管理
「良い製品を作ってください」と中国工場側に漠然と要望しても、何が「良い」製品なのかが中国側には伝わっていないので、日本側から主動的に「良い製品の具体的な要求」をひたすら提示していく必要があります。

日本国内同士の商売なら「品質最低基準」の共同認識がある程度ありますから、さほど主動的に提示する必要がありません。また日本は自分の考えについて「相手を理解させる」ではなく「相手に理解してもらう」文化ですから、もともと日本人には「自分の欲しいものを主動的に相手に主張する」習慣がありません。。。よって、そのような日本人の習慣を以って中国で挑んだら失敗してしまいます。

こちらから相手に主動的に「何が欲しい」かを主張していく。
このことは私も失敗を通して学習しました。当たり前すぎて注意する必要がないと思っていたことでも、やらないと裏目に出ることがあります。また、たとえ大量の品質管理マニュアルを作って工場側に要求したとしても、中国側がその通りに実行しているとは限らないので、それを監督するのが難しいです。

中国人は「自分達が合理的だと考える方法」で、独断で(顧客に確認せず)仕事を省略化する傾向があるので、そこを抑えていくのが難しいです。日本人(顧客)が中国工場に毎日張り付いて検査するというのを聞きますが、確かにある物についてはその必要があるし、実際その方が手っ取り早い方法ではないかとも思います。ただし、費用、労力はかかります。

2)「納期」管理
双方が取り決めた納期の通りに出荷されない(納期遅れ)ということが頻繁に起こりえます。「新製品の製造」を例に挙げますと、新製品、つまり製造経験がない製品となると、中国側は製品の難度、「どこが難しいか」を十分に了解、検討していないので、気軽に「OK」し、いざ正式生産の時になって、お手上げするということもあり得ます。

謙虚な日本人なら「作ったことがないから、作れるかどうか分からない」という回答が返ってくるのでしょうが、ほとんどの中国人はまず「没问题(問題ない)」と言います。「とりあえずやって(受注して)みて、後(製造)はなんとかなるだろう」程度に思っているのでしょう。製造前の十分な検討をおろそかにしているようです。製造前の「没问题(問題ない)」が、正式製造時になって「没办法(どうしようもない)」に一転するわけですから、堪りません。

中国は急激に工業化が進んだ(急激に外国からの技術が流入した)ので、日本のような「自ら失敗→自ら研究→改善→技術向上」という「試行錯誤(trial and error)」の発展ステップを踏んでいません。一見中国は近道をしているようですが、これもすべて簡単に考えてしまうことと関係あるのではないかと思います。注意点を言いますと、中国工場側の提出した「製造工程」「生産計画」には、突っ込んで信憑性を十分検討する必要があります。

3)「価格」管理
製造前(見積時)に十分な製造検討をしていなかったため、正式製造時に価格が上がることがよくあります。中国側の言い分は、「そこまでの難度は想定していなかったから当然値上げするべきだ」ですが、日本側からみたらとんでもない話です。当然、双方の契約によって、ある程度防ぐことはできますが、それでも追加費用契約みたいなものを中国側から提示することがあるかも知れません。

見積りする時から、双方で、十分な交流(品質要求・製造過程)をしておかないといけません。先ほども述べましたが、日本側が見積時に伝えていなかった要求は、製造時にすべて追加費用になってくる可能もありますので、十分注意するべきです。

ちなみに、中国人から見た日本人のお客さんは「初めは提示していなかったのに、後になったら、どんどん追加要求を出してくる」だそうです。日本では製品の美観が大前提となっているので、打合せ時に特に提示しなかった美観要求は、使用目的を主に重視している中国人からすると、全て「顧客の追加要求」となってしまうのです。見積り時には十分顧客が必要としているレベルを打合せしておくべきです。ただし、初めに要求を細かく言い過ぎると日本で製造するより見積価格が高くなったり、「そんな要求の高いものは造れません」と放棄されるかも知れませんが(笑)。そこの微妙なバランスがポイントです。

そのほか、中国側(製作側)と日本側(顧客側)の誤解による、いろいろな問題にも結構悩まされました。
「言う必要はない」と思ってあえて言わなかったことが、結果的にクレームを引き起こす原因になったときは、とても悔しい気持ちになります。「理解していると思っていたことが、中国工場側は理解していなかった」ということです。同じ人間なのに、国が違うというだけで、なんて中身(考え方)が違うのだろうかと、痛感しました。

どんな国であっても、異国を相手に事業をする秘訣は、その相手国に踏み入って、そこの「文化」「考え方」を体で知ることからだと思います。振り返ってみると、中国とビジネスを始めた当初、私は、日本の考え方を「絶対(世界)標準」と考えて、中国側の行動を一方的に批判した時期がありましたが、それは根本的に間違っていることだと気づきました。どちらか(日本or中国)が正しいのではなく、ただ「2つの国が異なる」のだと思いました。まず、「中国人と日本人は違う文化・考え方を持っている」、そこからスタートし、「何が違うのか」を十分理解した上で、「お互い誤解を招く可能性のあるところ」を重点的に交流していくというのが今は正しいと考えております。

つづく



2011年10月01日

海外生活のススメ(85)  海外移転の好機

国債は、日本を除き、他国の金融機関がその多くを保有する場合が一般的である。だから、国が財政破綻 →他国の金融機関が損失を被る →その金融機関を助けるために、国債を発行したり財政支出をして金融機関を守る →その国の財政状況が悪化する →財政破綻になる、、、、と連鎖するので、最初に財政破綻した方が有利である。なので、ギリシアは早く破綻したい訳で、破綻を避けようという気持ちはない。しかし、それでは債権国のドイツやフランスが困るのでなんとかしたいが、真面目さのないギリシアを救うことはかなり困難だ。

しかし、もっと問題はアメリカであり、いずれ財政破綻を考えるはずだ。勿論、そのときは日本よりも早く財政破綻させて、日本の保有している米国債をパーにして、自らはいち早く立ち直る計画となろう。日本は、その後財政破綻する。日本の有している唯一の宝である米国債が紙切れ同然になって、国内銀行は日本の国債が紙切れ同然になって、国民は銀行からの預金の払い戻しが受けられないばかりか、インフレで預金の価値が大部分失われる。

日本が支払資金を持たなくなれば、外国は物を売ってくれない。結局、凄いインフレになって、円は暴落し、円安がようやく実現する。円高であって欲しいときに、円安になるのである。つまり円をたくさん払わなければ、物が買えない。資源を加工して富を生む国が、資源が買えないようになるのだから、日本は終わりである。

このままだと、以上のようなことになってしまう。だから、円高を利用して、企業は今のうちに海外へ移転すべきである。海外移転は日本の産業が空洞化すると否定的に捉える人が多いが、それは違う。日本は資源を持たないから、海外移転を進めなければ、財政破綻と共に企業も終わるのである。円高は、日本経済にとって大きなマイナスと思われているが、日本の現状を考えると、海外移転の絶好のチャンスと考えるべきである。日本では、海外移転する会社はけしからんという見方が大勢だが、もっとこの議論はなされるべきである。


写真) 国立博物館 プノンペン(カンボジア)