海外生活のススメ(78) 保険の替わり
バブルを経験した国民であれば、誰しも今の中国の不動産状況はまさにバブルであると思うが、当の中国人は未だ不動産投資熱に犯されており、中国は他の国と事情が違うと言う。質の低い不動産を世界で最も高い値段で買わされているのに、それを不幸だと感じずに金持ちになるチャンスと捉えているから、どうにも始末が悪い。
なぜ、中国の不動産がそんなに高いかというと、デベロッパーや役人、銀行、斡旋業者などが間で甘い汁を吸っているからである。しかも、粗雑な造りなのでいろいろ不満があるのを聞くが、施工の酷さには諦めが入っている。たぶん、質の悪さに慣らされているのと、転売で儲かればよいと思っているからだろう。
不動産は以前から投資対象であるが、「不動産を買うのは愛国」に始まり、次に「不動産を持っていない男は結婚できない」とか「彼女もできない」というパラダイムが生まれ、最近は「保険の替わりになる」という謳い文句まで出て来た。そういう考えは多分に操作されたものなのに、不動産所有の有無は、今ではすっかり人を計るものさしとなった。
今、中国人は、返済に何十年も掛かる不動産を買うために、他の欲しいものも我慢して、中には食事の回数を減らしてまで頭金を貯めようとしている。しかし、多くの人が同じように考えているので、消費が落ち込んで来ている。不動産を持つことが夢というのは分からなくはないが、亡者になって余りにも周りが見えていない。
写真) エローラ石窟 アウランガーバード(インド)