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2011年07月24日

海外生活のススメ(78)  保険の替わり

バブルを経験した国民であれば、誰しも今の中国の不動産状況はまさにバブルであると思うが、当の中国人は未だ不動産投資熱に犯されており、中国は他の国と事情が違うと言う。質の低い不動産を世界で最も高い値段で買わされているのに、それを不幸だと感じずに金持ちになるチャンスと捉えているから、どうにも始末が悪い。

 なぜ、中国の不動産がそんなに高いかというと、デベロッパーや役人、銀行、斡旋業者などが間で甘い汁を吸っているからである。しかも、粗雑な造りなのでいろいろ不満があるのを聞くが、施工の酷さには諦めが入っている。たぶん、質の悪さに慣らされているのと、転売で儲かればよいと思っているからだろう。

 不動産は以前から投資対象であるが、「不動産を買うのは愛国」に始まり、次に「不動産を持っていない男は結婚できない」とか「彼女もできない」というパラダイムが生まれ、最近は「保険の替わりになる」という謳い文句まで出て来た。そういう考えは多分に操作されたものなのに、不動産所有の有無は、今ではすっかり人を計るものさしとなった。

 今、中国人は、返済に何十年も掛かる不動産を買うために、他の欲しいものも我慢して、中には食事の回数を減らしてまで頭金を貯めようとしている。しかし、多くの人が同じように考えているので、消費が落ち込んで来ている。不動産を持つことが夢というのは分からなくはないが、亡者になって余りにも周りが見えていない。


写真)  エローラ石窟 アウランガーバード(インド)



2011年07月12日

海外生活のススメ(77)  狭い選択

中国は、いろんな可能性に富み、政策の選択肢も広いように見えるが、実は結構厳しい情況にある。かつてアメリカが円高にして日本の経済力を削いで行ったように、今はそれが中国に向かっている。中国は急激な元高にならないように為替を管理しているが、インフレが進行しているので徐々に元高を認めざるを得なくなっている。

 元高になると輸出企業は、大きなダメージを受ける。しかし、技術力が乏しいので、良い製品を造ってカバーするということが難しい。国内需要を高めるために賃金を引き上げたいが、コスト高になり、それも技術の問題が足を引っ張る。そこで、新興産業を国家の手で作り出そうとしているのであるが、果たして技術開発ができるか疑問がある。

インフレ抑制は先が見えて来たように言われているが、その主な原因は金融引き締めなどにより投資、消費が落ち込んで、景気が後退しているからである。また不動産価格はやや落ち着いて来たものの、投資のための住宅購入が急減しており、景気への影響が読めない。国際マーケットにも限界が見えて来ており、製造業の行く手は厳しい。

また、世界の工場となったことは、中国に大きな環境負荷を与え、世界で一番環境破壊された国にしたが、もし中国の繁栄が一時的なものに止まるならば、余りにもその犠牲は大きい。環境破壊、資源の減少と引き換えに外貨は増え続けているが、その価値は下がる一方で、また最早普通には支払不能な外国債が増えている。


写真) バーナラシィー 沐浴(インド)