海外生活のススメ(65) 敬語
中国人から日本社会の特徴は何かと尋ねられることがある。そんなとき、「人によって考え方が違うだろうが、私は敬語を使っていることだと思う」と答えている。しかし、中国にはほとんど敬語がないので、彼らは日本人が敬語を使う理由がよく分からない。そこで、敬語の良い面、悪い面を挙げて説明するのだが、中国人の反応は敬語が面倒だと思うようだ。
敬語の良い面は、人間関係を円滑にすることだろう。敬語は、相手が自分より上で、それを認識していることを伝えるものだから、言われた方は悪い気がしない。そうすると、人は一般に親切心などが起こって物事が上手く運ぶ。また、敬語を使われる側は気分が良いから、早く立派になろうなどという動機になり得る。
しかし、敬語にはマイナス面もある。敬語は人の序列化を前提としており、身分や職業などによって敬語の度合いが決定される。それゆえ、実際に相手がその度合いに相当する場合は問題がないが、そうでない場合は精神的苦痛が伴い、その上、見下した言葉を使われたときはとても嫌な気持になる。
また、敬語は上下関係を必要以上に認識させて、単なる礼儀の域に止まらず不要な遠慮を生み、上の者の良くないことも下の者が批判しにくくする。敬語の使い方ひとつで人が評価されたりしてしまうこともあり、本来、敬語は管理社会を作るための道具でしかないと思うのに、日本人の良さから考えたりする人もいるから厄介だ。
写真) ハロン湾(ベトナム)