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2010年12月21日

海外生活のススメ(58)   インフレ対策

最近、中国はインフレ時代に突入したとする論調が目立つ。これまでは、ただ不動産だけがバブっていたが、この頃は農産物などの生活の必需品の価格も急上昇している。政府が緊急の物価対策を発動したので、最近はやや価格が落ち着きを見せているが、いつまた急上昇したり他の物に波及しないか危惧される。

 インフレになれば、一般庶民の生活は途端に苦しくなる。庶民は、特別な生活防衛手段を持たないから、生活を切り詰めたり、別の良い働き口を探すとか余った時間を使って副業をするしかない。もっとも、中高所得者は贅沢品の買い控えなど工夫の余地がある。また、インフレ対策&財テクの手段として、家や店舗を買ったり金や株、美術品を買ったりしている。

ただ、中高所得者の行動は中長期的な視野に立ったものではなく、ギャンブルに近く短期間での金儲けを目的としている。特に不動産の購入は、依然投資対象として最も人気があり、大半の中国人はこれからも不動産価格が上昇し続けると思っている。しかし、政府がインフレ対策としてマクロ調整を強化している中で、更に価格が上昇するのは難しいだろう。

 買い控えで消費が落ち込み、更に金利上昇で設備投資が減少すれば景気の減速が危ぶまれる。政府は先の中央経済活動会議で、保障性住宅や公共の賃貸住宅を大幅に増やす方針を打ち出した。これは、住宅価格の上昇を抑えかつそのことで消費の拡大を図ろうとしているのだろう。農業に対する政策も、灌漑工事や作付面積の拡大などを揚げており、インフレ対策を最重視していることが分かる。


写真)  故宮2



2010年12月11日

海外生活のススメ(57)  KFC

杭州駅の構外にKFCがあるが、この店では深夜になると客でもない人がテーブルに座っている。おそらくホテル代を節約するためだろうが、客でないことは明らかなのに、店員は客が少ないこともあって文句を言わない。日本では、客の振りして座わる人はまずいないだろうが、仮にいたら店員がすぐに出て行けと言うだろう。この違いは何だろうか?

 また、杭州駅には浮浪者がたくさん住み着いている。しかし、彼らが日本のように浮浪者狩りにあったというのは聞いたことがないし、そんなことは中国でありえない気がする。これは、ひとつには貧しい人が多く、浮浪者が珍しくないというのもあるだろう。

しかしそれだけではなく、KFCの件についても、店員が文句を言わないのは彼らが怠けているのではなく、貧しい人達に対して寛容だからだと思う。おそらく、貧しさというものがとても身近なものであり、それゆえ人に冷たくしないのだと思う。

 日本人は、豊かさが当たり前になり、貧しい人は軽蔑の対象になっていて、彼らに対する見方が冷たいように思う。中国人は一見優しくないようだが、犯罪者に対してさえ同情心を抱くぐらいで、貧しい人に対しても可哀想だという気持ちを持っている。公共のマナーは酷いが、心貧しくないところがある。


写真) 故宮


2010年12月01日

海外生活のススメ(56)  無茶

 中国では、子供は小さい頃から大学合格というゴールを目指して勉強に励む。そして、大学ではほとんど選択肢がないカリキュラムが用意されており、自分が学びたい科目を自由に選ぶ機会が少ない。しかも、教師はその限られた科目すべてについてかなり高い結果を要求するので、学生もあまり気が抜けない。

 しかしそういう状況だから、大学生も4年になると、自分の将来やりたいことが分からなくて不安になる。小学生のときからずっと親や教師が敷いたレールの上を走って来て、大学に入ってからも教師の指示するままに勉強するので、卒業間際になってこれからすべきことを示す人がいなくて不安になるのだ。

 この点日本は、大学卒業後も就職すれば終身雇用制や年功序列賃金という制度があって、組織の敷いたレールの上を走っていれば、ほぼ間違いなく自分の描く目的地に近づく。結局、生まれてから死ぬまでほぼレールが敷かれているようなもので、中国にはそういう重宝なものはないから、日本人は恵まれていると言えよう。
 
 もっとも、それゆえ日本のレールに乗っかって来た人たちの話は、理性的でも予想されるありきたりなものが多い。逆に、レールの上を走ってこなかった人は、結局無茶なことをしている訳で、非理性的かも知れないが面白い。中国人は、大学卒業までは平凡だが、その後はレールのない世界が待っており、彼らが無茶をするのが理解できる。


写真)北京5