海外生活のススメ(28) 異文化摩擦
中国にいる日本人は、正直な話、そのほとんどが中国人と信頼関係を構築することは難しいと感じているだろう。では、中国人は日本人に対しどう思っているかというと、私の目から見たら初めから良い関係を築こうという気持ちがあまりないように感じる。これは大げさな言い方だが、社会観や人間観が違うからだと思う。
文化の違いは簡単には乗り越えられない。そうでなければ、異文化そのものが問題にならない。文化は重要な意味を持つ行動様式の理解を可能にするから、人に安心を保障するが、元来ローカルなもので他の国の人には分かりにくい要素を含んでいる。だから、外国へ行けば最初はいろんなことがよく分からないし、簡単には馴染めないのが普通である。
まして、現地の人と信頼関係を結ぶとなると、文化の理解や違いを乗り越える強い動機がないと、そこまでには至らない。互いの違いがプラスに働くような関係となるとさらに難しく、余程の思いを共有していないと無理であろう。在中の日系企業は、価値観、態度などを教育して企業文化を作り上げ、個人と会社とが信頼関係を築けるように工夫しているが、目立った成果を出すまでには苦労が多いようだ。
それにしても不思議なのは、日本は戦後、ずっとアメリカの言いなりになって来たのだが、そこに異文化摩擦はなかったかのだろうか。アメリカの政治力や社会進化論などによる独善的な考え方で劣等感を植え付けられて、抵抗する気持ちを失くしてしまったのだろうか。摩擦というとマイナスのイメージがあるが、摩擦があるからこそ自己の欠点が分かったり多様性を活かしたりできるのに、言いなりではそういう良さは出て来ないだろう。
写真) 杭州バスセンター近くのマンション群。交通の要地になると発表されて、人々が野菜を買うように部屋を買ったという。