« 2009年09月 | メイン | 2009年11月 »

2009年10月25日

海外生活のススメ(9)  決まりの少ない社会

中国へ来て思ったことの一つは、公共のマナー、約束ごとなどインフォーマルな制度が発達していないということだ。日本人は、公共のマナーが悪かったり、約束ごとが守られないとイラつくが、中国人は慣れているのか全く平気みたいで、最初はちょっと驚く。

決まりの多さは社会の成熟度と関連しており、これが少ないと反って自由がなくなるのは中国の様子を見るとよく分かる。しかし、日本人は中国人とは逆に、決まりの多さに慣れ過ぎてしまって、平気になっているのかも知れない。

決まりが多いのは、それだけ他人に対し寛容性がなく従順さを求めていると言えるし、放任されている部分でも、勝手に基準を作って相手に当てはめる傾向さえ生むような気がする。それに、決まりが多いことは、同じような型の人間を作ることに繋がると思う。

中国を見ていると、公共のマナーなどの必要性を感じるが、日本のように微に入り細を穿ち決まりを作って人を大人しくさせるのも、息苦しいだけでなくやや不健全な気がする。寛大な人間だけが格好良く見えるのは、規制の多さを嫌がっている証拠だろうに、日本人はたくさんの決まりの中でリラックスできているのだろうか。


写真)西湖(杭州市)は、他と比べものにならないくらいに整備が行き届いている。  



2009年10月18日

海外生活のススメ(8)  戻るか残るか

中国へ来れば、働いていない場合、日本の年金や保険料の支払いが任意になるし税金もないのでその分出費が減るが、代わりに何の保障もない生活になる。それでも、最初は新生活が始まるので気分も上がるが、保障なしの海外の暮らしは時間が経つに連れ不安が増して来る。

中国語を勉強し、日系企業に現地採用で働いても、安い賃金でしかも短期契約なので将来の見通しは立たない。中国で過ごした時間は、留学経験を含め日本ではあまり評価されないので、ずっと日本で働いていた人と比べ損をする。また、中国で身に付いたのんびりした感覚は、日本に戻ったとき適応を難しくするだけかも知れない。

そこで、ほとんどの人が中国でしばらく生活をしていても、やがて日本復帰を考える。結局、いろんなマイナスを覚悟して日本へ戻るか、何とかして現状を変えるかの選択を迫られることになる。戻るか残るかは海外へ渡れば必ず迎える分岐点であるが、中国の場合は実績をぶら下げられないところが厳しい。

この選択はいずれにせよシビアな現実が待っているので、いい結果を出せた人は立派である。今後も、中国での生活が日本で高く評価されることはあまり期待できないので、中国へ留学に来る人はリスクを覚悟しておいた方が良いが、それもまた面白いと思うならチャレンジして欲しい。


写真)パオの中  羊の肉には、少しミルクの匂いのする内モンゴルの白酒(バイジョー)がとても合う。


2009年10月13日

海外生活のススメ(7)  日本人の特異性

中国で暮らしていると、日本人の特異性、つまり日本人が外国人といろんな点で違っているとことを痛感する。例えば、日本人はいつもペコペコ頭を下げて格好悪いし、他人にも同じ考えであることを求める人が多いし、また中国ということで態度がやや横柄になっている人も少なくない。私は、海外生活をしている人には、そうした小さな日本人さを捨てて欲しいと思う。

しかし、非常に少数意見だと思うが、私は日本人の特異性のうち、「良い人間」ぶるところが最も嫌である。中国に来る前は、あまりそのように思わなかったのだが、中国人が「良い人間」ぶらないことから、日本人への見方が変わった。それに、現在、私は中国人の最大の美徳は「良い人間」ぶらないことだと思っている。

もちろん、中には「良い人間」ぶってる者もいるだろうが、それが感じられず、皆が「良い人間」ぶっていないように見える。これはきっと、ぶっているとしても程度が少ないのだと思う。それが証拠に、このふりが上手い日本人が、しばしば中国人の間でたいへんな人格者だと思われるからである。

これは思うに、日本では「良い人間」が求められていて、そのふりをすることが身に付いてしまっているのだろう。これに対し中国では、そもそも「良い人間」を求めることは無理と考えるので、ぶることがほとんどないのだと思う。もっとも、それゆえ日本人から見れば、中国に「良い人間」はいないように見えてしまうのだが。


写真)洋ラン (場所:昆明市の花市場)



2009年10月07日

海外生活のススメ(6)  駆け引きの世界

中国ではスーパー、コンビニ、飲食店、交通機関等の一部を除き、商品、サービスの価格が売り手と買い手の交渉(駆け引き)により決まる。例えば、ホテルやデパートの専門店でも、普通に交渉が可能である。つまり、いろんな場所で価格が人によって違ってくるのである。だから、交渉を上手くやらないと相場より高く買ったり、安く売ったりすることになる。

価格交渉(駆け引き)では、相手の商品・サービスの弱点を突き、自分が売り手であればいかに優れているか、安いかなどをアピールすることになる。中国人は、小さい頃からこうした環境で育っているので交渉が上手である。こうした経験がない日本人は、最初はどうしても悪い条件で契約してしまう。

それに、契約が約束どおりに履行されるかどうかもかなり不明である。だから、契約内容を確実に履行させようと思えば、まず、その内容を書面化することが欠かせない。些細なことでも文書にしてサインさせた方がよく、そうしないと履行されない可能性がある。口約束は、約束していないのと同じであるぐらいに考えた方がいい。

また、履行段階のチェックも必要である。例えば、契約書に契約内容を詳しく書いても、それが実際に履行されるかは、やらせてみないと分からない。本当は履行能力がなく、契約とは違うようにやって、こちらが良いと言い張ることもある。このように最後まで自分の都合で相手を回そうとするのが中国の常識であり、上手に駆け引きをやったつもりでも逆転を喰らうことがあるので気が抜けない。


写真) 休日は、近所の人が集まって、お寺の中でマージャン、トランプ、将棋などをして楽しむ。(場所:昆明市)


2009年10月02日

海外生活のススメ(5)  引いたら負け

中国では、例えば交通事故で明らかに過失がある場合でも、「自分は悪くない」という顔をしたり、ときには猛然と文句を言ったりする。「ごめんなさい」と言ったら責任が発生するので、先ずは絶対と言ってよいほど謝らない。だから、相手に責任を取らせようと思ったら、何がなんでも自分の言い分をしっかり主張して、引かないことが大事である。

そうすると、相手は落とし所を探す動きに出る。かなり言い合いをした後、やっと解決策を見出すことが始まる。こういうやり方が中国では一般的で、社会全体がそういう仕組みなので、中国人は性質が悪いと見るのは間違っていよう。相撲だったら引いて勝つことがあるが、中国では引いたら必ず負けるというルールなのである。

日本人は、こういう中国式の解決法を理解した上で対処しなければ損をする。とは言っても、日本とは解決法が全然違うので、最初は戸惑うかも知れない。しかし、慣れてくれば何のことはない。人間は結構融通が利くものである。それに、最後はほぼ理屈に合ったところで折り合いが付くのであまり心配は要らない。

ただ、絶対に引かないという原則が、どこでも通用するかは分からない。持ってくるものを持ってこないと、相手にすらしてもらえない場合があるというのはよく聞く話である。中国では、職務に絡んで少し副収入を得るとか2ポケットを持つとかしないと生活が楽にならない人が多い。してみると、日本の公務員や会社員はなんと幸せなのだろう。


写真) 昆明市の通称「外人通り」  留学生が多いので外人向けの店が並ぶ.。